第1章 一夜目.5時限目の空
二つの白息が、気温の低さと体温の高さを物語っていた。
なるべく密着した状態で、ゆっくりと体を揺する。内部を解すように、ゆっくりゆっくり出し入れを繰り返した。
シミュレーションは重ねてきたが一織だったが、頭で考えるよりも身体の方が勝手に動いた。
『っふ、ぅ……んっ、ぁ 』
次第に、苦しげだったエリの声が変化していく。熱を。甘い刺激を求めて、一織に吸い付いた。いつまでもこうしていたいが、一織は終わりを悟り始める。肺に溜まった空気を、ゆっくりと全て絞り出した。
「……っは、」
他人と繋がる感覚。満たされていく心。伝わってくる相手の多幸感。
一織はこの時、どうして自分が男に生まれたかの意味を知った。
「…っ、エリ」
『!』
口は勝手にその名を呼んで、腕は勝手にその身体を抱いていた。
『い、おり…、一織…っ』
理性や疑問が、霧散していく。自らの名前を呼ばれただけで、弾けそうになってしまうなんて。情けなくなるほど嬉しかった。
徐々に打つスピードを速めれば、強過ぎる快感が容易く襲ってくる。もうこれ以上、我慢なんて出来なかった。
すると、耳元でふふ、と軽い吐息が聞こえた。見ると、エリは泣き笑っている。そして一織へ彼女の腕が伸ばされ、輪郭にそっと手が宛てがわれた。
『ふふ…、どう、しよう。いま、すっごく…幸せ』
その宛てがわれた手を、一織はぎゅっと手の平で包み込んだ。
「それは、奇遇ですね。私も幸せですよ。
あなたに出逢ったその日から、私の幸福は始まったんです」
二人は強く指を絡め合って、共に快感の波に流された。
エリと一織はこの日。身体を結び、そして心と心を結んだのだ。