第1章 一夜目.5時限目の空
大和から託された “御守り” の封を、左手と歯を用いて解く。
『一織くんがそういうの用意してるの、なんていうか…意外』
「私が避妊をしない男だとでも?」
『違う違う。そういう意味じゃ、なくってね』
「……備えあれば憂いなしと言うでしょう」
『あはは。備えてたんだ』
「備えてましたね。嫌、でしたか?」
『ううん、嬉しい。私と、それを使うかもしれないって考えて備えてくれたことが、すごく嬉しい』
「そう、ですか。ふふ、やっぱりあなたは、変な人だな」
事前に調べていた甲斐あって、装着に手間取ることもなく。いよいよ、その瞬間がやって来る。
本当に良いんですか?とか、今ならまだ止めてあげられますよ。なんていう言葉がいくつか一織の脳内に湧いた。しかし、結局はどれも口にすることはなかった。
エリが、あまりに幸せそうに笑うから。どれほどの優しい言葉も、愛を込めた台詞も、この笑顔の前には全てが霞んでしまうだろう。
そしてその笑顔は、一織がずっと見たいと望んでいた表情そのものであった。
額にひとつ、キスを落として。一織は腰を少しだけ前へ押し進める。
『っっ、あぁ…っ!』
「〜〜っ、」
初めて味わう、きゅうきゅうと自分を強く締め付ける肉壁の感触に、一織は眩暈を覚えた。少しでも気を抜けば、欲に負けてしまいそうになる。エリの腰を両手で掴んで、欲望のままに強く腰を打ち付けて、律動を早めてしまいたくなる。
しかし。エリを気遣う理性の方が、一織の中では大きかった。
「痛く、ないですか…?辛かったらちゃんと、言うんですよ」
痛くないはずがないのに、エリはまた幸せそうな顔で一織に笑いかけた。