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十六夜の月【アイナナ短編集】

第1章 一夜目.5時限目の空




さきほどカーテンを閉めたことを、一織は後悔した。月明かりを求めてしまうほど、エリの身体は美しかった。明るい場所で、もっと見つめていたいと願うほど。
書物や動画で、見たことはあるはずなのに。それとは比較にならないほど、女性の肌は神秘的で美しいと一織は初めて知る。


「手が、冷たければ…すみません」


カイロで温めていた手を、すべやかな肌にそっと触れさせる。エリは恥ずかしそうに眉の間に皺を刻み、身体をひくりと震わせた。それは寒さから来る震えではないと分かりつつも、一織は自分もシャツを脱いで出来る限り身体をくっ付けた。

逸る心臓を抑えつけ、盛り上がった胸にそろりと手を伸ばす。そこは信じられないくらい柔らかくて、さらに一織の心音を速めた。
エリの恥じらう顔をもっと見ていたいのに、濡れたその瞳を見るとまるで吸い込まれるように唇を重ねにいってしまう。月よりも強い引力を、一織は彼女から感じた。


『ごめん…、私、ただ寝てるだけで、何も出来てなくて』

「気にしないで。あなたはただそこに転がって、気持ちが良いか良くないか教えてくれれば良いんです。それから、触って欲しい箇所があれば申告してもらえると助かります。あぁあと、もし痛みを感じた場合は手を上げて訴えて」

『…歯医者?』

「一応お答えすると、違います」


一織くんは、こんな時もすごく一織くんだ。と、エリは赤い顔でふにゃっと笑うのだった。

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