第17章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも$ 上巻
宮女は下女と代わらない。
「俺の母も元は旅一座の舞手だった。王に見初められ、お手付きになったから、妃姫になった」
義勇の母の話を本人から聞いたのは初めてだった。
下女達が尾鰭を付けて吹聴しているようだが、義勇本人から聞かないと意味が無い。
冨岡の深い蒼い目が、その真摯な眼差しが、那岐を捕らえて離さない。
私は、義勇を拒めない。
ずっと、そう望んでいたから。
いつか隣にと、夢を描いていたから。
……でも、何だか怖い。
私が慕っている義勇は今の彼とどこか違う。
「………俺が怖いか?」
頷きかけて、けれど途中で気がついた。
義勇の眼が出会った頃と同じで、少し寂しそうな光を宿していて……
「……私で、良いの?」
深く息を吸い、ようやく言葉にできたのがそれだった。
昔から口下手で、不器用で、それでも隣りに居ないと寂しくて……
「俺はお前が良い。お前以外に考えられない……」
義勇が額を那岐のそれに当てる。
「その気がなかったら蹴り飛ばしてくれ。そのままなら俺は、このままお前を抱く。意味は分かるな?」
義勇が力を抜いたのが分かる。
本当に私の意志に委ねるのだ。
初めて会った七つの頃から、ずっと……