第17章 スルタン企画 絶対君主には成れずとも$ 上巻
あれはまだ幼い頃。
キュルキュルー。
「はぁ…お腹空いたなぁ」
宮殿に召し抱えられれば腹が減るようなことにはならないなんて家族は言っていたけれど……
別に外とあまり変わらないじゃないか。
蹲(うずくま)る少女を見つけて冨岡は声をかけた。
ここは礼拝堂でも殿下の執務室とも違う、ただの廊下だ。
頭を垂れる理由がない。
「腹が減ったのか?」
声をかけたのはただの気紛れだった。
俯(うつむ)いていた少女は顔を上げ、まだ少し赤さの残る頬をこちらに見せ、力無く笑った。
あーぁ、見つかったよ。
似たような年ということは王子様よね?
「ごめんなさい、せっかく宮女になったのに…」
「ん?お前先月入ったばかりの……那岐だな?」
那岐は目を瞬かせた。
「王子様、覚えて頂いてたのですか?」
「使用人の顔を覚えるのは当たり前だろう?」
「私……不死川様の所に…宮仕えになったのですが、ご満足頂けないのか、あのお方には怒鳴られてばかりで……」
那岐の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。