第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
「みんな…大人たちはみんなしてリズクを
おだて上げ媚び諂う。
民たちはみんながリズクを慕い愛する。
ほんの少し、先に生まれたというだけの事で。
純血は俺だった。
お前の半分は奴隷だというのに」
「…アシルそれは」
「黙れ、お前が死ねばこの国は俺のものだ。
今までお前にゴマを擦っていたヤツらも
今度は俺にそうするようになるんだ」
「…そんな事をされてぇのか?」
アシルを上回るくらい淋しげな問い。
「媚び諂い、ゴマを擦るような輩は
自分の事しか考えられねぇ中身がからっぽの
悲しい人間ばかりだ。
そんなのが周りにいた所でどうなる」
「そんな事はわからない。
俺には、そうする人間すらいなかったからな」
私は、ソファから立ち上がった。
この兄弟はまったく違うようで、
似ているのかもしれない…。
「だいたい俺の母親とお前の母君は
ちゃんと和解してただろう。
いつまでも真っ黒いモン引きずってんのは
お前だけだぞ。第一だろうが第二だろうが関係ねぇ。
出来る事をやろうとしねぇのが悪い」
きっぱりと言い切った後で、
天元は何故か『しまった』というように
片手で目元を覆った。
…別に間違った事は言っていないように
聞こえたけれど…
むしろ正論だ。
「俺が、悪いと…?」
アシルは自分の過去を振り返るように
眉をひそめて考え込んだ。
「お前は民の事、周りの人間の事を
良くしようと考えた事があるか?
俺への憎しみしか持っていなかっただろう」
アシルと私は揃って、弾かれるように天元を見た。
人前では別人のように
穏やかで優しげに振る舞っていたアシル。
きっと天元の前でもそうであっただろうに、
この人は裏の顔に気がついていた。
「…さすがは兄者だな」
悔しがるでもなく、
呆けたように呟いた。
「ガキの頃に、一緒に王宮を抜け出して
城内町に行った事があったな。
あの時俺は、幼かった弟と
そんな悪戯ができるようになって
そりゃあ嬉しかった。
それなのにお前は、
あの日を境に闇を抱え出したんだ。
はっきりと覚えてる」
「…そんな事にまで気付いていたのか。
さすがの観察眼だな。
生まれついての王子というわけだ」
ツラそうに目を細めたアシル。
人ひとり、しかも自分の兄に
手をかけようとする程
追い詰められていたのだろうか…。
