第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
「そんなこと言って、
俺がほんとに雛鶴んとこ行ったら
お前どうすんだ。
ひとりで泣くんじゃねぇのか」
「…っ!…」
「行ってほしくもねぇのに
心にもねぇこと言うんじゃねぇよ」
…この時に俺が得た教訓は
泣かせた女に正論を吐くものではない、だ。
「…行ってほしくないなんて誰が言った?」
涙でじゃなく、…声が震えていた。
「天元が、行きたいなら
行けばいいじゃない‼︎」
空気をも震わせる程の怒り。
…あれ?
思ったのと違う反応だ。
今までたまっていたものが
一気に暴発したようだった。
「私には自分だけを愛せなんて言って‼︎
自分は私だけ愛すわけじゃないくせに!
調子いい事ばっか言わないでよ人でなし‼︎」
「おい待て…」
「汚い手で触らないでよ!
相手しなきゃいけない女が3人もいて
まぁお盛んですこと‼︎
1人がダメになってもまだ2人もいるなんて
羨ましい限りだよ!」
「3人じゃねぇわ!4人だ!」
お前がいる、と言う事を言うつもりだったのに
「……どーうでもいいわぁ‼︎」
火に油を注ぐ事になった。
激怒だ。もう止めらんね。
…当たり前ぇだ。
「離してよ、大っ嫌い‼︎
やっぱり私……」
「…やっぱり…?」
俺が繰り返すと
ハッとして自分の口を手で塞いだ。
やっぱり、何だというのだろう。
やっぱり、無理?
それとも
やっぱりこんな所にはいられない?
何にせよ、いい答えには繋がらねぇ。
それ以上言えば、
もう後戻りできねぇと気がついたのだろう。
睦はそれ以上、
何も言わなくなった。
ヤキモチ…
そうだろう。
うん、そうなのだろう。
ぴたりと言い当てられて
戸惑いや恥ずかしいよりも、
腹が立った。
どうして私よりも先に
私の事に気づくんだと腹が立ったんだ。
私は小さいな。
その怒りを、別の不満に引火させ
あんなふうにぶちまけた。
ほとほと呆れる。
後戻りできなくなる一歩手前まで来て、
やっと気がついた。
このまま勢いに任せて言ってしまったら
絶対に後悔するって。
この人を、好きなくせにって。
意地張って、ムキになって
…そんな事したっていい事なんて
ひとつもない。
『やっぱり』の続きなんて無い。
言わない、でもなければ
言ったらいけない、でもない。
無いのだ。