第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
それは褒め言葉であって、
でもそうは聞こえなかった。
それは私だけじゃなかったようで…
「…俺、…なんだ、どういうこと?」
私と雛鶴さんの顔を交互に見ながら
戸惑ったように頭を掻く。
「何だか今日の天元様は可愛らしいですね」
雛鶴さんの言葉に、
私も天元も驚いた。
可愛らしい?この人が?
…かっこよく見えるけどなぁ…?
「つまり、睦さんの前では
天元様は別人だということですね」
笑いが止まらないふうな雛鶴さん。
結論が出たところで私は腑に落ちなかった。
「どういう、事でしょう…」
私の前では違う?
「睦さんの前でだけは、
素の自分を出せるって事よ?だって
天元様のさっきみたいな笑顔、私初めて見たわ」
「……雛鶴さんたちの前では
気取ってるって事ですか?」
「おい、気取ってねぇわ!」
ツッコミを入れる天元に、
雛鶴さんは驚いたように目を見開き
すぐに愛しそうに細められた。
「天元様、よかったですね。
求めていた安らげる場所が手に入って。
睦さんが、
天元様が仰っていた女神なのでしょう?」
「おい雛鶴!余計なこと言うな!」
慌てたように雛鶴さんを止める天元。
そういえば
いつのまにか、雛鶴さんが泣き止んで
ニコニコ笑っている…
「…雛鶴さんを笑わせる為?」
その為にわざとカッコつけたのかなと
本気で思ったからそう訊いたのに、
彼は更にわけがわからないというような顔をして
「何の事を言ってんだよ」
混乱を極めていた。
「違う違う。天元様はね、」
「あ″ー!俺の話はもういい!
雛鶴、みやげを持たせるから部屋にいろよ」
天元は私の手を取って歩き出し
顔だけ振り返り大きな声でそう告げた。
「…ふふ、はぁい」
雛鶴さんはとても楽しそうに
同じく振り返る私に向かって手を振ってくれる。
それに会釈を返して…
ぐいぐい引っ張られる手について
彼の進む方へとついて行った。
俺にはひとつ、わからない事がある。
「じゃあなんで、お前はあいつらに遠慮してんだ」
と、いうこと。
俺はあいつらの為に
睦にも事情を話していなかった。
ここにいる本当の理由が外に漏れたりしたら
あいつらの立場が危うくなるからだ。