第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
「あら…そんなつもりは…」
2人の会話は
まるで言葉遊びのよう。
そして淡々と話す天元は、
普段と別人のようだ。
私はつい、そんな彼を覗き込んだ。
その視線を受けて
ふとこちらを向いた天元が、
「……?」
目だけで『何だ?』と言っている…。
…この人気づいてないのかな。
なんだろう、何が違うのかな…
その原因を突き止めたい私は
無意識のうちに
眉間に深くシワを刻んでいたのだろう。
長い指でそこをトンと突いた天元が
「なんて顔してんだお前は」
くしゃっと笑って見せた。
……あ、いつもの天元だ…。
そう思って見上げていると、
雛鶴さんも同じように、彼を見ていた。
少し、呆けたように。
「…雛鶴も、どうしたんだ」
怪訝そうに首をひねる天元に
ハッと我に返った雛鶴さんは
「申し訳ございません。
そ、そうだわ、睦さん、
とっても綺麗でしたでしょう?
私がお化粧して差し上げたんですよ」
スルリと話題転換をした。
「そうか、雛鶴か。
化粧っ気のねぇこいつが珍しいなとは思った」
それにすんなりと乗っかる天元。
「お帰りになる天元様をお迎えするのに
少し驚かせてしまおうと思いまして…」
雛鶴さんが言った途端に、
「そうだった。俺とした事が…」
ここへ来た目的を思い出したようだ。
スッと佇まいを直すと、
「随分と時間がかかっちまったが、
やっと決まったぞ。
学校、建てることになった」
「!」
ハッとして目を見開いた雛鶴さんは
声にならない声を上げ、
同時に口元を手で覆う。
みるみる涙が溜まり…
「ありがとうございます天元様…」
喜びに打ち震える雛鶴さん。
ワケもわからないのに、
こっちまで涙が出そうになってしまう程
感動が伝わってくるようだった。
「あぁ、ちゃんとした教育を受けさせてやれば、
読み書きも出来るようになる。
小さいうちから才能の芽を摘むことも減るはずだ。
課題はまだまだ山積みだが…
まず第一歩だな」
あぁ、この話を、私にも聞かせたかったのかな…
と、そんな事をぼんやりと考えた。
あの日のあの子どもも、
その学校とやらに通えるようになるのだろうか。
あんな事をさせられる事なく、
心穏やかに暮らせる日が来るのだろうか…。