第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
「…あら、天元様?」
私たちが押し問答をしている所へ
あらぬ方向から
鈴を転がしたような声…。
あぁああ…ほら見なさいよ…
見つかっちゃった…
「お帰りなさいませ。
長旅お疲れ様でございました」
にこやかに微笑みながら
私たちが来た方向とは逆からやって来た雛鶴さんが
こちらへと歩み寄ってくる。
彼がその姿に見入っているうちに
せめてと思い、繋がれていた手を振り解いた。
天元は一瞬眉を寄せたが、
何事もなかったかのように装い
「あぁ。雛鶴、変わりないか?」
口端をクッと上げて、
落ち着いた声で雛鶴さんを気遣う……。
「はい、ありがとうございます」
嬉しそうに笑う雛鶴さんが
私に視線をすべらせて
「睦さん、おはようございます…」
少し不思議そうな目をして見せた。
「…おはよう、ございます」
この場にいる事が申し訳なくて
つい俯く私に
「…昨夜は、お留守でした?それとも
早めにお休みに?」
「あ…」
「こいつ、昨夜は俺んとこだから」
えぇえ⁉︎
それ言っていいの?
「あらあら、そうでしたか。
道理で返事がないわけだわ」
ころころと笑う雛鶴さん。
「この間の楽器を、
広間に置きっぱなしだったから
お返ししようかと思って訪ねたの。
今は私の部屋にあるから…
持って来ましょうか」
「あっ…ごめんなさい。
わざわざありがとうございます」
ぺこりと頭を下げると
その様子を窺っていた天元が
「なんだ、お前ら知り合いなのか?」
雛鶴さんと私の顔を交互に見た。
「まぁ天元様、知り合いだなんて…
私たちすっかりお友達なんですよ?」
「オトモダチ…?」
カッと目を見開き
私を責めるような目で見つめる。
……なぜだ。
「いつの間に…?睦は
引き籠っていたと聞いていたが…?」
『聞いていた』?
よそよそしい言い回しに違和感を覚えた。
「はい、最初は確かにそうでした。
でもつい最近、4人でお茶をしたんです。
とっても楽しかったんですから…」
その時のことを思い出しているのか
はしゃぐ雛鶴さんを前に、
「そうか、よかったな」
彼女とは対照的に
落ち着いた笑みを湛える。
……。
「しかもお話したら
とっても可愛らしいしいじらしくて…
だから私、本当の事をお話してしまったんです」