第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
急に話をふられて私は困惑したけれど、
何か言わなきゃと慌てた挙げ句、
「あ、えと…そんな事はありません!
私の方こそ、
呆れられるくらい彼を好きなので…!」
とんでもない事を口にするはめに…。
目の前の2人に、
大きく見開いた目で
穴が開くほど見つめられ、
やってしまったと両手で顔を覆った。
「違う違う…違うんだって…」
「わー…睦様、お声だけでなく、
仰ることも仕草もお可愛らしいのですね…」
「もー…私のばかぁ…」
初対面の…
しかも王様付きの執事さんにむかって
何という失言…。
何という失態。
もっとちゃんとした女だと示すべきだったのに…
私なんかじゃあ
天元にも恥かかせることになるんじゃ…
それを危惧していたのに、
「親父は可愛らしい女が好きだ。
別に取り入れとは言わねぇけど
気張る必要はねぇからな睦」
愛しげに頭を抱きしめてくれる天元と
「そうですねぇ、天元様と同じで
王様は小賢しい人間が
お嫌いでいらっしゃいますから
そのままの睦さんがよろしいかと…」
優しく言うアーディルさんは
こんな私でいいと言う。
「どこがいいんですかぁ、
ばか丸出しじゃないですか」
「いえいえ。型にはまった挨拶など
退屈なだけでございます。
一風変わった雰囲気が、王の心を掴むのです!」
「ホントですか…?
なんか楽しんでませんか?」
「はい、楽しみです。
今日は王様の笑った顔が
見られるかもしれませんもの」
いそいそと王の間へ向かうアーディルさん。
それに続いた天元は
私の手を引き、少しだけ振り返る。
「ちったぁ解れたかよ?
アーディルには敵わねぇなぁ…」
そう言ってにやりと笑ったのだ。
その一言に、私は驚いた。
私の緊張に一瞬で気づいたとでも言うのだろうか。
それとも嫌だ無理だと抗っていた姿を
見られていたのだろうか…
私たちの前を悠然と行く背中を
つい見つめてしまう。
さすがは、王様の側近なだけあるな。
随分とおとなしくなった私を
ふと振り返り、
緊張を溶かす仕上げとばかり
おでこにキスをして
甘い笑顔をつくった天元は
「お前を紹介できる事が心から嬉しい」
珍しく高揚しているようだった。
「気に入られようとか余計なこと
考えんじゃねぇぞ?
お前はそのままで充分なんだ」