第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
それを聞かされた私は
更に申し訳なくなってしまって…
つい俯いた。
それに俊敏に反応した天元は
「あ、ほら、花買ってやろうか。
好きな花は何だ?」
私の顔を上げさせるためだろう。
わざと明るい声で言った。
そして
「お前が申し訳なく思うことはねぇ。
睦の自由を奪ったのは間違いなく俺だ。
恨まれても仕方ねぇと思ってるのは事実だし
だからって離してやる程の度量もねぇよ。
ただ、…俺だって誤解されんのはツラい。
ちゃんと俺を知ってもらえたら満足だ。
…結局、自分勝手だな」
自嘲しながら、そんな事を付け加えた。
私は…。
この人にどうやって応えよう。
今の私なら、きっとこう思うだろう。
天元の自分勝手は、私を愛するが故だ。
…って。
私の何がそんなに
この人のお気に召したのかは
皆目見当もつかないが、
ここまで言われて自覚しないのもおかしな話。
この、男性ながらに見目麗しい容姿、
恵まれた体格に王子という立場。
そして実は優しくて愛情に満ちている。
何一つ申し分のないこの男。
見劣りするのは私の方だ。
何も持たない私がこの人の隣に立つ事など、
本来なら許されないのではないだろうか。
「悪ィ。悩ませるつもりじゃなかった。
俺の話はいいから…花は嫌いか?」
繋いだ手を解き、ぐっと肩を抱き寄せられる。
「…お花…『花なんて食べられないし
すぐ枯れるものにお金を出すなんて
信じられないわ』…」
「…なに?」
いささか信じられないように
目を見開いた天元がこちらを見た。
その表情が、あまりにも驚きに満ちていて…
「ふふ…っ。なんて顔をしてるの?」
私はつい笑ってしまう。
こんな顔もするんだ。
「ここに来る前に立ち寄った街の
レストランで隣の席にいた女の子が
そう言っていたの。
えらそうに言ったその言葉がやけに耳について…
可哀想な子だなぁって思ったんだ」
「おいおい…おどかすなよ…」
ほっとして胸を撫で下ろす天元の手を
私も強く握り返した。
「なんて心の乏しい子だろうと思ったの。
きっと生活が苦しくて、
それどころじゃなかったのかなぁとか
余計なことを考えたりしたんだ」
まだ幼い子だった。
10歳にも満たないと思う。
「お花は枯れるんじゃなくて、…
精いっぱい咲いて、潔く散るんだよ。
美しいものなのに」
