第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
くるりと首を戻し
再び物色をし始めた天元は選んだフルーツを
何も言わずに店主の男性に手渡し始めた。
その男性の方も特に驚きもせず
黙って受け取っては紙袋へと丁寧に入れていく。
その姿を見る限り、
いつもの事なのだろうと推測できた。
「みんなが笑ってられんだったら
使えるモンは何でも使うぞ。
例えば、恵まれたこの王子という立場とかなぁ」
「……」
気取らない王子。
まずいよ、素敵だなとか思ってしまったじゃない。
立場を振りかざすのではなく、
より良くする為に使うのか。
賢い人にしか出来ないこと。
人の心に寄り添わないと…
何より人から好かれ、人を好かないと
出来ない事だ。
人間味溢れる人だった。
私はまるで誤解していた…。
「……」
ただ、彼の横顔を見つめるしか出来ない。
「…惚れ直しちゃって」
相変わらずフルーツを選別しながら
こちらを見もせずに
含み笑いをする天元に
私はハッとして視線を逸らした。
「っ違います!そんな…」
…そうだ。
そうじゃなくて…。
言葉を中途半端に途切れさせた私を
彼は一瞥した。
そんな天元に、私は目を向けて
「そんなふうに…思うのね。
素晴らしいと思う。…ごめんなさい。
私は今まで…失礼ばかりしていたと認めるわ」
今までの非礼を謝罪した。
あんまり申し訳なくて、目を伏せるのと同時に
「今日はそれだけにしとくわ。いくらだ?」
店主ににこやかに告げる天元。
…お金を、払うんだ…自分で。
貢物にさせるとか
後から誰かが払いに来るとかじゃなくて
この人自身が、今、支払いをするんだ。
ほぼ、庶民と変わらない。
でもそんな当たり前の事をするこの人が
とっても嬉しかった。
代金と引き換えに、
果物が溢れんばかりになった紙袋を受け取り、
再び私の手を取った天元は
ゆっくりと歩き出す。
「ありがとうございました天元様」
にこやかに笑う店主に私も頭を下げると
その人は何とも穏やかに、
私にまで会釈をしてくれた。
「その辺の陰から従者が出てきて、
お荷物お持ちしますとかは無いの?」
「お前なぁ…」
呆れたようにため息をつき、
顔だけでこちらを振り返る。
「まぁだそんなこと言ってんのかよ。
俺には腕もあんだよ、これくらい持てる」