第21章 スルタンコラボ企画 〜睡蓮の昼寝〜
「…お前に委ねてやろう。
自分の為に自由になりたいと思った時、
これをあの男に使え」
目の前に、銀色の指輪が差し出された。
幅のあるデザイン、
そこに大きめの黄色い石が嵌め込まれている。
「ただの指輪じゃない。その石は
宝石のように加工した毒だ。
普通の人間なら、その半分で致死量だが
あの男は毒に耐性がある。
念には念をと言う事だ」
恐ろしい事をサラッと言われ、
私は背筋が凍る思いだった。
自分が殺されるよりも恐ろしい話だ。
「なぜ、私にそんな話を?」
「…互いの利益になるからだ」
「利益…?」
「俺はヤツが邪魔だ。消えてもらいたい。
お前も、あの男が消えれば晴れて自由の身。
目的は達成できるというわけだ」
「お前だれなの」
私が振り返ろうとした瞬間、
喉元のナイフが少しだけ深まり、
私は動きを止められてしまった。
「知る必要はない。
お前は天元にその毒を飲ませれば
それでいい」
「断れば…」
「構わない。俺がやるだけの話よ」
「私にやり遂げられると…?
あの男は鋭い。心の変化に敏感だ」
「お前なら朝飯前だろう」
「腕っ節では敵わない」
「違う!お前の強み、それは女である事だ。
弱い事が強みなのだ。
ヤツは好いた女には甘い。気づきはしない」
「私の事は興味本位だ。
好いてなど、いない…」
あぁ。自分で言って、
悲しくなっては世話ないな…。
「何だ、自信がないのか。
くく、安心しろ。お前はいい女だぞ。
突然攫う程だ。天元もお前に入れ込んでいる」
からかうように言われカチンと来たが、
どこか救われたような気がする私は
やっぱりどこかおかしいのだろう。
「…やるとは言っていないぞ」
「お前の好きにしろ。
どっちにしろ、最後は俺が仕留めてやる」
仕留める…
恨みでもあるの…?
「此度の事、他言すれば
自分が死ぬより酷い事が起こると思え」
低く唸るように言い、
私の左手の真ん中に指輪をはめると
音もなく消えてしまった。
私は振り返りもせず
ただ目の前に広がる景色を目に映していた。
自由に…か。
戻りたい。
楽しいだけだった日常に。
でもその日常は、
誰かの命と引き換えに出来るものなのだろうか…
外へ出る為に、あの人を殺す…?
そんな勝手が許されるの?