第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
そこに口唇を押し付けたまま喋るから
言葉は風になって私に吹き付ける。
なんだか…
なんだろうなぁ。
安心する。
人の体温が。
この、くるりと包まれる感触も。
あまり考えたこともなかったけれど
私以外の温もりって
こんなに心地よかったっけ?
あぁ
おばあちゃんが亡くなって以来だ。
こんなあったかさ…
そっか。
この人が言っていた『勘違い』って
こういう事だったのかな。
私がこの人を好きだという気持ちは
おばあちゃんを好きなそれとは
全然違うんだけどな…
いくら私が恋愛初心者だからって
その違いくらいわかるんだけど。
恋に恋してた私だけど
胸がきゅんと鳴くこの気持ちが何なのかくらい
わかってるつもりだ。
例えばケガで弱っている私の心の隙間に
この人の想いが入り込んで来たとしたって
それがほんとに勘違いだとしても
つけ込んで利用すればいいのにね。
妙なとこ真面目なんだ。
ヘンなの。
「なぁ、」
さっきとは違った、静かな声。
私の耳を傾けさせるには充分な。
…いつまでこの体勢なんだろう。
別にいいけど。
「このままだと、」
選ぶように
ゆっくりと言葉を運ぶ。
私はただ、その続きを聞いていた。
「お前、俺のモンになっちまうぞ」
拒めって事かな。
そんな気ないんだけど。
「…それなら、それで…」
私は正しく、自分の気持ちを言葉にした。
なのに音柱様は
それはそれは大きなため息をつく。
「俺のモンになるってイミが
お前にはわかってねぇんだよ」
「…想いが通じ合うって事じゃないんですか」
目線を上げると
音柱様の顎が見えた。
離れる理由が特にない。
だけどこんな場所でいつまでも
一体何をしているのかと不思議に思えてくる。
「抱くぞ?」
だく。
「これは…今抱かれているのでは?」
ちょっと惚けてみたりして。
「そーね、まず脱がして、肉体的に抱くよな」
「あー…」
やっぱり。
「そんな覚悟があんのかねぇ?」
「んー…それはまたその時に…」