第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
私がはぐらかしたような言葉を告げると
ようやく額から離れた音柱様は
今度は至近距離で
私の目を覗き込む。
天はこの人に、二物も三物も与えたの…
なんて真摯な瞳。
上背があって体格にも恵まれ、
更に眉目秀麗、ついでに声もいい。
なにこれ。
ズルくない?
私にももうちょっと、
何かくれてもよかったんじゃないかな神様?
「俺の愛に、ついてこれんの?
もう睦のこと、
離してやれなくなるぞ」
それはつまり、その時、って事?
「体力には自信があります!」
グッと拳を握ると
「う、おー…お前なぁ…」
ガクッと項垂れた音柱様は
私の肩に額を乗せて唸った。
あれれ…
ナニカを堪えるように
そのままぎゅぎゅっと抱きしめられ
しばらく黙っていた音柱様は
左手で両方の目尻を押さえながら顔を上げた。
「で?ここどこよ」
「私の家です」
「着替え取りに来たのか?」
「いえ…帰宅しました」
「何⁉︎」
音柱様は声を高くするが
左手が目元を隠しているので
表情まで窺い知ることは出来ない。
「俺、帰れなんて言ったか?」
「えぇ…言われたと思うんですけど」
「ひとっことも言ってねぇけど」
「えっ?だってさっき…」
「言うワケねぇだろ。
思ってもねぇのに」
「だって…やっぱり私の事、
めんどくさくなったって…」
「言わねぇぞ⁉︎」
「言われたように感じました、」
「はぁああ……」
音柱様は再び項垂れた。
「私、うるさかったから…
お腹すいたとか、
おにぎり一緒に食べろとか
いろいろ言っちゃったので
ご迷惑だったかなぁって…」
本気でそう思ったのだ。
私の甘えが出てしまったから
それを嫌がられたように感じてしまった。
「誰かに甘えた経験があまりないんです。
幼い頃に身内にしていただけなので
それ以外の人にも同じ甘え方をしていいものか
すごく悩みます」
音柱様は自分の顔を見せないまま
また私を抱き寄せる。
あぁやっぱりホッとする。
優しい温もりに力が抜けていく。
ずっとこうしていてもらいたい。
「それは、…俺にならしてもいい」