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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.






さっき放った声には
悲しみが混ざっていた。
それくらいの聞き分けくらいなら出来る。

私だって耳には自信があるのだ。

だけどさすがに
その悲しみがなにで、
何処から来るものなのかまでは
私にはわからない。

ただ平謝りするだけの音柱様には
もう何も言えなかった。
これ以上、思いの丈をぶつける事も
憚られた…

私は多分、その後すぐに
音柱邸をあとにしたのだろうけれど
どうやって蝶屋敷まで辿り着いたのか、
それはまったくわからずにいた。






「櫻井さん!」

不意に名を呼ばれて
全身がびくついた。

ほぼ無意識のうちに動いていた私は
夢から目覚めた時のような感覚だ。


ふと見ると、手にはほうき。
蟲柱様に言われた通り
ちゃんと掃除をこなしていた。

私を、目覚めさせたのは…

振り返ると隊服に黄色い羽織を引っ掛けた
黄色い髪の男の子が立っていた。
少し申し訳なさそうな目で
こちらを窺っている。

あぁ…

「こんにちは。ごめんなさい、
気づかなくて…」

きっと、何度か呼びかけてくれていたのだろう。

「いやいいんだ、大丈夫」

胸の前で両手を振って
焦ったように言う彼は、
前に任務で一緒になった事のある善逸くんだ。

女の子と見ると態度が急変する彼も
私に対しては普通にしてくれていた。
男の子のフリをしていてよかったなと
こんな所で思う…
だってこの子、すごいから…

「しのぶさんに聞いたんだけど…
前回の任務で…大変だったって。
もういいの?」

訊きにくそうに、でも
心配の方が上回ってそわそわしながら
私の事を気遣ってくれる。

「ありがとう、随分よくなりました」

「そうか、良かった…」

納得していないふうの善逸くん。
…まぁ、わかるよね。

「これでも訓練中なんです。
右手の感覚が殆どないので」

「えッ⁉︎全然大丈夫じゃないよ⁉︎」

「はい…そうですね」

はは、と力なく笑うしかない。



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