第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
「おい、」
「音柱様は、任務ですか?」
呼びかけた所に言葉を被せられ、
「お、ぅ」
返事をするので精一杯になった。
テーブルに軽く手を添えて
睦がスッと立ち上がる。
「そうですか。
お気をつけて…お帰りください」
行ってらっしゃい、ではなく、
帰ってこいと言うあたり
胸を痛めずにはいられないな…
「あぁ…お前も、気をつけて…」
そうしか言ってやれない自分が
心底情けないと思った。
私の名前を呼ばなくなった。
お前、としか言ってくれなかった。
櫻井、と呼ぶのは何故かと
私が詰め寄った直後からだ。
やっぱり私を避けているのは否めない。
何かを隠している様子が窺えた。
でも急にどうしてかと
私の中に生まれた疑問は
どんどん膨れ上がっていく一方で。
蝶屋敷へ行くと、
立ち上がり襖に手を掛けたものの、
このまま出て行ったのでは
きっと後悔すると思った。
だって今夜、
音柱様は任務に出掛けられる。
内容は聞いていないけれど、
明日戻って来られるのかはわからない。
戻ってきたとしても
明日会える保証なんかどこにもないのだ。
という事は、まともにお話が出来るのは
今だけ、という事になる。
なら今聞いておかなければ
私はこの後何日も
悶々とした日々を送る事になる。
それは
ちょっと我慢出来そうもなかった。
そう思って振り返ろうとした
ちょうどその時だ。
「睦」
不意に『名前』を呼ばれ
私は勢いよく振り返る。
「はいっ」
思ったよりも大きな声で返事をしてしまい
自分で驚いてしまった。
その事に音柱様も驚いたのか
綺麗な目を少しだけ見開かせて
私を見た後
「ちょっとだけ、時間をくれねぇか」
呆けたような口ぶりで言い私を手招きをする。
正直、何を言われるのか怖かった。
でもこれは好都合だといい方向に考え
私は元いた場所に座り直す。