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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
















ふと気がついて、頭をもたげた。

眠っていたのか
ただ呆けていただけなのか
それすらもわからなかった。


もう力なんか入らないと思っていた四肢。

なんならいっそ、
全部壊れてしまえば諦めだってつくだろうに。


でも
そうなれない私が

いつまでこうしていた所で
ただ時が流れて行くだけだ。


部屋に差し込むのは間違いなく朝日で、
私は知らないうちに
一夜を越したことになる。


なにか、
良くない夢でも見ていたのかもしれないと思い
だらりと垂れた右腕に力を込めた。

腕は動く。

でも指の感覚は……



頬がくすぐったい。
知らないうちに溢れ出た涙が
乾き切ったそこを流れ、伝っていくからだ。


刀が握れない


たったそれだけの事が
今の私を地獄へと突き落とす。


人を襲う鬼というものを討つ。
もう、誰も悲しい思いをしないように。
淋しい思いをする子どもがいなくなるように。

それだけに打ち込み過ぎた。

打ち込み過ぎて…
他にはもうなんにも無い。
刀を握るための手を失ってしまったら
私にはなにも残らない…


すべてを失ってしまった。

鬼を討つ力も
志を共にする仲間も
貫くだけの士気も
立ち上がる気力も
現実を受け止める勇気も

全部を。
失くした。


そんな私に何が残るだろう。

何も、残らない……
抜け殻だ。


そんな抜け殻で何もない私が感じる
唯一のものが、

この温かい塊だ。

さっきから優しい鼓動が私の耳に届いている。

「……りがと、」

こころから、
感謝を。

こんな私に付き合ってくれて。
しかも朝までだ。
さすがは柱。
精神力が尋常じゃない。

常人には耐えられないと思う。
こんな廃人みたいなのの世話を
夜が明けるまでするなんて。

「ありがと、ございました…」

私は身体を起こそうと力を込めた。

でも、ひと晩中
同じ格好をしていたからだろうか。
小さく揺らす程度しか動かせなかった。




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