第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
「そうだなぁ。悪ィな。
俺のわがままだ」
そう言いながら小さく笑う。
だけどそんなの、間違いなく欺瞞だ。
私はそんなのに乗ってあげない。
騙されたフリなんか、してあげない。
「蟲柱様に頂いたお薬があるんです。
痛み止めと滋養の」
「そうか、ちゃんと打てるか?」
やっぱり…。
「私が頂いたのは飲み薬です。
本当は注射のように打つのが1番だと
すすめられたのですが
自分ではできないからとお断りしたら
蟲柱様が飲み薬にして下さいました」
「そっか」
包丁を握る私の手を握る
音柱様の手に力が込められた。
「蟲柱様には
『また宇髄さんにやってもらえばよろしいのに』
と言われましたが…どういう事でしょう」
「そういう事だな」
「よくそういう事シレッとやりますね。
私が食らった鬼の毒は、
蟲柱様の薬で良くなったんですよね?
危うくお礼を言い損ねる所でした」
「胡蝶には俺から礼を尽くしてあった。
あいつには今回の事は黙ってるよう
言っといたのに…余計な事しやがって」
音柱様はアイツめと
憎らしげに舌打ちをする。
「私の事情なんか無視して
蝶屋敷に丸投げすればよかったんです。
どうしてそうしなかったんですか」
「無視なんかできなかった、
って言ったら納得するか」
「…しません」
「だろうな。でもそれが本心だ」
「どうして私にそこまでするんですか?」
「睦の事は、
俺がちゃんとしてやりたい」
「また好きだからって言うつもりですか」
「そうだ」
「もういいです。離して下さい」
「…離れてほしいなら
力尽くでそうしてみな」
「なんで…」
「睦だって離れようとしねぇだろ」
「だって無駄じゃありませんか。
どうせ離さないくせに」
「素直に居心地がいいって言っていいんだぞ」
「はいはい、とっっても居心地いいですね」
「人慣れしてねぇ野良猫みてぇだな…」
そうして呆れられるけれど……
この人の腕の中は温かい。
居心地がいいのは、その通りだった。
拒まないのには、
それなりの理由があるんだ。
ここに居たいと思ってしまう私の弱さだ。