第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
「この傷、ひどくてな。
あの鬼は毒を持ってやがっただろ?
爛れがどんどん広がって
皮膚は紫色になってくしな、…
お前の身が腐ってくんじゃねえかって
気が気じゃなかったんだ」
私の意識がなかった間の事…
2週間が過ぎても
未だにずくずくと痛む傷だけれど
これでも良くなったという事か。
「お前はずっと魘(うな)されてるし
熱は上がるし泣き出すしで、
…もうどうしようもねぇって…」
「…待って下さい。私、泣いたんですか」
「あぁ」
「ごめんなさい…」
「…そこは謝るとこなのか?」
「えぇ?…だって、」
よくわからないけれど。
悪かったなと思ったのだ。
「それでなくてもご面倒をおかけしたのに…」
「いや、あんな状態だったんだ。
不安になるのも怖ぇと思うのも当然だと思うぞ」
「そんなもの、怖がってる場合じゃありません。
共に倒れてもいいと思っていたんですから」
「…生きるってのは、大変なんだよ」
音柱様は手を止めずに、
重い言葉を口にした。
それは、とてもよくわかる。
生きていくのは、
時に死ぬのと同じくらいツラかったりするのだ。
とても難しい問題だと思う。
生きるも死ぬも、
どちらも楽で、どちらもツラい。
環境や状況によってそれは様々で、
…だけどあの時、
絶望の淵に突き落とされた私にとっては
1人で生きるのがあまりにツラかった。
あの鬼だけは撃破、ないし道連れにしたかった。
それが叶ったというのに、
あの存在のせいで昔を思い出し
自分は独りぼっちだということを
焼き付けられたように感じたのだ。
意識が朦朧としていながらも
その暗くて悲しい気持ちだけは
はっきりと覚えている。
でもまさか、泣いていたとは思わなかった。
「怖ぇモンを怖ぇと言えなけりゃ
強くなんかなれねぇぞ。それに、…」
言葉を途切れさせた音柱様。
同時に手も止まり…
その時の事を思い出しているように見えた。
「それにあん時の睦は、可愛かった」