第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
私の頭の後ろから手を差し込んで
肩を腕で支えてくれると
上体を少し持ち上げて
白湯の入った湯呑みを私の唇に軽く充てる。
…自分で、持てるのにな、と
そんな事を考えながら、
私はなんだか怠くて
音柱様に甘えてしまうのだった。
「いつまでそうしてんだ」
「いやですー…!」
「まったく…強情にも程がある。
もう昼だぞ、」
「もういたくありませんー」
「痛ぇとか痛くねぇとかじゃねぇんだよ!」
「うそ…ほんとはちょっと、痛い…」
「チッ…なら尚更だ」
私が嘘をついた事へではなく
痛みが残っている事に舌打ちをした音柱様は
「無理やりにでもするけど?」
とうとう脅しのような事を言い出した。
「いやだー」
「泣いてもだめだ。
後々ひどい事になるよりいいだろ」
「……」
黙って枕に顔を埋める私に、
「胡蝶んとこ行くか」
大きなため息をついて立ちあがろうとした。
蟲柱様はだめだ!
「わかっててそんな意地悪言わないで下さい!」
「言わせてんのは睦だろ。
もうなぁ、この2週間ずっと繰り返して来たんだ。
俺にとっちゃ今更なんだって」
「私にとっては違いますー…」
意識がない時、知らないうちに見られるのと
自分から曝すのとでは全然違う。
「あのなぁ…一応治療なんだぞ」
「一応って」
「だぁまれー。これ以上引き伸ばすようなら
無理やりひん剥く。もしくは蝶屋敷送りだ」
どっちもいやだ。
…それならする事はひとつだろ、
とでも言いたそうに
音柱様がこちらを睨む。
うぅ…仕方ない。
治療…治療だよコレは。
そうだ、この人は音柱様ではなくお医者様だ。
そう思い込むしかない。
だって、傷口の確認と、ガーゼの取り替え。
それをしてくれるだけなのだ。
身体を横向きにした私は襟に手をかけ
左身頃を引き下ろした。
胸元は、残った右身頃で隠し
ついでに両手で顔を覆う。