第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
「睦は…男、なんだよな?」
「…………」
そう、私は男…のフリをして……
そうか、蝶屋敷にお世話になったとしたら
女だって事がすぐにバレてしまうんだ。
脇の下あたりから脇腹の上くらいまでを
ざっくりとやられている。
きっとサラシも
役には立たなくなっていた事だろう。
そんな状態で蝶屋敷に運び込まれたりしたら
私が女だという事は一目瞭然。
別に、バレたらバレたでいいけれど
それまで一緒に過ごしてきた仲間たちは
どう思うんだろう。
私は過去を捨てたかったんですなんて
今更言った所で、
微妙な空気になる事は間違いない。
音柱様はその混乱を避けられるように
蝶屋敷にではなく
自分の邸に運んでくれたというわけなのか。
「(ありがとうございます。
おかげで、バレずに済みました)」
声を出そうとするたびに
喉が擦り切れてしまいそうになる。
でも私は、必死に言葉を紡ぎ出した。
「(しかも2週間もご厄介になっていたなんて)」
「……」
「(どうお礼を言っていいのか…)」
「………」
「(長いことご迷惑をお掛けしました、けど
今……なんて…言いました…?)」
「…俺はなんも言ってねぇ」
お前1人で喋ってたじゃねぇかと
音柱様の目が語っている。
「(私…)」
「ん?」
「(名前…弥彦…って、)」
さっき、睦って呼んだ…?
あの時も。
あの時もそう呼ばれた。
鬼を倒す時、助けてくれた時。
私のほんとの名前を、この人は呼んだ。
「天元様をナメんなって話」
「(なんで知ってるんですか…⁉︎)」
「だから、バカにしてんのかよ。
俺の耳はものすごくいいんだ。
お前のも凌ぐ。何でも聴こえてくるんだよ」
それこそ、そんなバカな話があるか。
まさか私の頭の中の声まで聴こえるって
そんな事があるとでも…?
まさかね。
……ね?