第49章 .☆.。.:..期待:*・°☆.
「(息が、しにくい…)」
深く吸えなくて苦しい。
「痛むか」
胸の辺りを指差されて…、
ふと、ある事に気がついた。
この人…
知ってるの…?
そうだ。
そもそもここは?
ここはどこなんだろう。
私は、記憶の糸を辿る。
あの時、鬼と戦って、
その鬼は親の仇で
私がこの手で討つんだって…
それなのに手負いとなって
…首が、斬れなかったんだ。
力が足りなくて。
でも誰かが…
誰かが、……
「どうした?痛むのか?」
目を合わせたまま動かなくなった私を
不審に思ったのか
音柱様は質問を重ねた。
「(ここ、は?)」
「俺の屋敷だ。今は俺しかいねぇから
気遣いもいらねぇぞ」
音柱邸……
「(なんで…)」
「俺の指示で動いてもらってたからな、
これくらいの責任は持つ」
責任…って何のことだろ。
怪我した私を養生させること?
「お前、2週間意識が戻らなかったんだぞ。
やっぱ鬼の毒は、なかなか解毒できねぇな…
ツラいの長引かせて悪かった」
「(2週間も…)」
「胡蝶なら一発だったんだろうがな…」
胡蝶…
蟲柱様…?
そうだ、
蝶屋敷に連れていかなかったのはどうして?
私が首を傾げて見せると
それだけで全て理解してくれた音柱様は
「行かねぇ方がいいような気がしたんだが…
違ったか?」
ますますわけのわからない事を言う。
治療してもらうのなら
蝶屋敷に連れていかれるのが
当然だと思っていた。
行かない方がいい、
と思ったのは何故だろう。
「鬼の毒にも効く薬を寄越せなんて言ったら
胡蝶の事だ、事細かに
そりゃあしつこい質問攻めに遭うだろう」
…確かに、
蟲柱様のそんな姿、容易に想像できる。
「しかも、そんな目に遭ったお前の身体、
実験台みてぇに扱うだろうなぁ…」
鬼の毒にやられた身体を実験に……
ちょっと恐ろしい気もするけれど。
でも、音柱様の言いたかった事は
そういう事ではなかったらしく。