第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.
「…開けてくれよ」
そうだった。
ぼんやりしていた私は
かかっているリボンを解きにかかる。
しゅるりと軽やかに抜けたそれ。
縛をとかれた蓋を、パカっと開けると
そこにはシルバーで出来た
アップルモチーフのネックレス。
「…りんご」
「睦と言えばりんごだろ」
「リンゴジュースでしょ!」
声を上げて笑ってしまった。
まさかの、素敵すぎるプレゼント。
先生と私にしかわからない暗号みたいだ。
「リンゴジュース見る度にお前思い出すわ」
先生も可笑しそうに笑う。
そうだね、
別に大好きってわけじゃなかったのに
いつも私が飲むのはリンゴジュースだった。
そんな事を知っているのは
先生だけだと思う。
「ほら、もうそっちは必要ねぇだろ?
指に嵌めて、くれるんだよな?」
私の胸元を指差して言う先生は、
もう笑ってはいなかった。
そっち、というのは、
バレンタインの時に先生にもらった
指輪の事だ。
校則を気にした私に
先生はチェーンをくれてネックレスにしていた。
「それは指に移動しちまうから、…
でもそうなると首元が淋しくなるだろ?」
「そんな、事ないよ」
「こら。ウソも隠し事もナシ」
先生は少しだけ声を低めて私を叱る。
「…これに触るのがクセになってるだろ。
だからコイツは、それの代わり」
言いながら、私の首元を指先で辿り
指輪を通していたチェーンの留め具を探った。
突然の事に肩を竦める私を横目に、
前に回っていた留め具を器用に外してくれる。
シャラっとチェーンを抜き去って、
親指と人差し指に挟んだ指輪を
私の目の前にかざした。
「小せぇ輪っかだな」
……確かに。
先生の半分くらいかもしれないな。
「この小せぇのが、睦を守る。
俺からの、愛の証な」
優しく言いながら、私の左の薬指に嵌めた。
愛の証って…。
背中がくすぐったいんですけど。
私は新鮮な気持ちでその指輪を眺めた。
私を、守ってくれる指輪。
先生の気持ち…
「で、こっちが新入り。
今日からはこいつが触られ役」
言いながら、
私の首元にさほど冷たくないチェーンが
ゆっくりと掛けられた。
…先生が、掌であっためてくれていたのを
私は知っているよ。