第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.
なら何でこんなに身軽なの?
「俺は優秀なんだよ」
やっぱり笑う余裕をもって
私の背中を何度も撫でてくれる。
どこ行った?
あっちは?
そんな話し声が、
明後日の方向に消えてからも
先生はそこから動こうとはしなかった。
私の呼吸も落ち着いて
やっと普通に喋れそうになった頃、
「あー…がんばったな睦」
楽しそうに笑いながら私を褒めてくれる。
「がんばったよ。あんなに走ったの初めてかも」
「ははっ、そりゃいいな」
「あんな全力で逃げなくても、
記念に撮ってあげてもよくない?」
「やだね。さっきも言ったろ、
俺はお前のものなんだよ」
「……そんなこと言われてないけどな」
「いいんだよ、そういう事だ。
あちこちバラ撒かれても不愉快だ」
「バラ撒くってなに…?
ただの記念じゃん」
「…お前わかってる?あいつら、
俺に気があるんだぞ」
「気がある……」
「俺がもう来るなって強めに言ったから
それからは来なくなったけどなぁ、
ずっと準備室通ってたんだよ。
1年の時からだぞ。
事あるごとに俺に絡んで来てたんだ。
そんなヤツらと俺が写真とか撮って
お前ほんとに平気なの?」
「絶対イヤ」
即答した私に、
先生はゆるりと私を離した。
背中から肩を撫で上げた手が
私の頬に充てられ、
親指がゆっくりとそこをさする。
「どうした睦…急成長だな、」
これは、褒められたのだろうか。
愛しげに細められた目を見る限り、
そうとしか思えないけれど。
「どうしたって事ないんじゃない…?」
「悪ィ。でもそんな素直になれたのかよ」
素直も素直じゃないも言っていられない。
「だってイヤだもん。
そんな人に先生は貸してあげないから。
早く帰ろ」
私の頬で遊んでいる指をぎゅっと掴んだ。
このままこんな所に居座っていたら
またあの人たちが戻って来るかもしれない。
それなのに先生は
その指を私の手ごとぷらぷら揺すり、
「貸すのもイヤか」
まだ話を続ける構えだ。
「やだよ。
そんな気持ち持ってる人には貸してやんない」