第48章 .☆.。.:..卒業*・°☆.
そう言ったきり何も言わなくなった睦。
俺からのいいワケ待ちって事か?
「あー……」
そうだな。飲んだわ。
睦が居る間は
飲まないと決めていたはずが。
でも…最近いろいろあったし。
「無意識に酒を求めてたんだろうな。
いろいろ考え込んでたのは
お前だけじゃねぇって事だ」
都合のいい言い訳だ。
それなのに、
「…ふぅん、」
ただ頷くだけの睦。
…あれ?それだけ?
「別に、飲んでもいいよ?」
更にそう続ける睦。
思わぬ所から出た許可に
俺は美術書から目を上げた。
俺の側面に貼り付いている睦の
後頭部をじっと凝視めると
「…先生つぶれないだろうし。
呑まれもしない気がするし」
睦も首だけでくるっと振り返る。
「私がいない時は普通に飲んでたでしょ」
「あぁ。まぁな」
「なら我慢しなくても…」
「いや、なんかあったらまずいだろ」
「なんかって何?」
「急に車出さなきゃならなくなったり?」
急な腹痛とか。
お前は体調不良とか、
頻繁に起こしそうだったからな。
「そんな事あるかな…」
…お前のためだけどな。
「私、割と丈夫だよ」
おい。
「俺、お前のためって言ったっけ」
「……ちょっと自惚れてみたりして」
薄く頬を染めて
ニッと笑って見せたその顔は
睦が初めて俺に見せた表情だった。
釘付けになっていた俺に気づいて照れたのか
睦は肩で胸元を小突く。
いやいや、だって
お前もそんな顔すんの、って思うだろ。
もしかしたら俺にしか見せねぇ顔かなとか
そんなこと考えたら
もう堪らねぇだろうよ。
「睦は自惚れるくらいでちょうどいい」
「めちゃくちゃ頑張ってこの程度だよ…って、
話逸れたけど、先生の家なんだから
先生が何かを我慢しなくていいよ」
我慢しなくていいとか
どの口が言うかな…
俺は睦の頬をむにっと
指でつまんだ。