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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第44章 .☆.。.:.夏色.。.:*・°☆.





「…可愛い?」

何となく訊いた私の質問に、

「あァかわいい。みんな俺の宝物だ」

答えたその顔の
穏やかで、なんて優しかったこと。

全身が震えるほどのこの気持ちを
どう表現しよう。

そんな顔をされてしまっては
ついさっき、
一生忘れないと思ったばかりの
あの表情すら霞んでしまうほどだった。


だけど私は
この時まだ、恋なんかしていない。

正しくは、気付いていないだけ…


だって私は、
そんな感情を知らなかった。
家族想いのいい人なんだなと
思っていただけなのだ。


それが恋なんだと気づいたのは、
彼に、想い人がいると知った時だった。


自分が恋していることにすら気が付かなかった。
例えば気付いていたとして
彼とどうこうなりたいだなんて
カケラも思ってはいなかった。

故に
涙、なんてものは出るはずもなく、

ただ彼の心が、
最初から誰かのものであった事が
純粋に悲しかった。
…淋しかった…?

だけど悲しいかな、
人とは忘れたり、慣れたりする生き物で
空虚であったのもほんの束の間、

私は中途半端な想いを引きずったまま…
早、3年目を迎えていた。

実らない想い。

あの手にさわってみたいと
思わないわけじゃない。

だけど、彼が彼女を大切にしている事が
痛いほど伝わるから、
私は何も言わないし何もしない。


いつも、
あの優しい笑みを浮かべながらする彼の話は
とっても心地よくて、
高校なんて行きたくないと思っていた私を
いつしか変えていった。

ちょっと照れながら、
彼女の誕生日を2人でお祝いした事や
一緒にお出かけした時の事を話してくれる度、
私も仲間に入れてもらったような気がして
少しだけ嬉しかった。

私は、この人の幸せな顔を見ていられるなら
それで充分だったみたいで、

彼が困るのをわかっていて
この気持ちを伝えるなんて事を
する気にはならなかったんだ。


だけどやっぱり、
その姿を目の当たりにしてしまうと
どうしても気分が落ちる。

ちゃんとわかってるのに
頭と心が別人みたい。

小さく傷ついていたというのに
……


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