第41章 輪廻 〜if〜 後
睦が牙を剥くとわかっていながら。
「…その呼び方だいきらい!」
思った通り、睦は声を荒げ
俺の肩を拳でドンと殴りつけた。
「仲良しなのはわかってるよ!
だからって見せつけることないでしょ!
だいたいなんで、家のカギまで開けられんの⁉︎
何が前のアパートよ!
ここにだって来たことあるんでしょ⁉︎
昔を思い出してオタノシミですか、
好きじゃなくてもヤれるんだもんね!
お互いにね!」
おいおい、効果ありすぎだ。
牙を剥きすぎてるぞ。
「わかった、悪かった!
だからちょっと落ち着いて…」
「なにが精力剤だよ、知った事か!
私が邪魔ならとっとと追い出して
2人で好きなだけヤってりゃいいわ!
喜んで出てってやる!」
「こら睦!お口が過ぎるぞ」
まったくもう…
ほんと口の悪ィ…。
俺はヒトのこと言えねぇけどさ。
「黙れバカ宇髄!」
「お、前なぁ…!」
優等生だったはずだ。
つい、数ヶ月前まで。
校則違反ナシ、成績優秀、品行方正…
それ故にノーマークの生徒だった。
本人もそれが狙いだったはずだ。
それが、一皮剥けば
こんな素顔が出てくるなんて
一体誰が思うだろうか…
喜怒哀楽が激し過ぎる。
しかも怒りながら泣いたり
哀しんでいるのに笑ったり
いろんな合わせ技まで持ち合わせているのだ。
よく今まで隠し通せたモンだ。
まずそれに驚くよ。
いやいや待てよ俺。
睦は間違っちゃいねぇ。
そう、俺が悪かったんだ。
目を逸らすな。
熱り立った睦に触発されるとこだった。
危ねぇ危ねぇ、
取り返しがつかなくなる所だった…。
「そうだな、睦の言う通りだ。
だけどなぁ…」
あいつ、って言ったらダメなんだよな。
でも名前言ったって知らねぇだろ。
誰?ってことに、…なるよな?
「さっきのヤツ、百鬼(なぎり)って言うの」
「は?」
意味わかんない、と、
睦の目が言っています!
でもその前置きは必要じゃね?
「百鬼とはもともと恋人関係じゃねぇし
始まってすらいねぇワケだから
どうって事ねぇだろ」