第41章 輪廻 〜if〜 後
すると余計にわんわん泣き出して…
こんな、小さなガキみたいな、
…叫ぶような泣き声を初めて聞いたと
正直驚きを隠せなかった。
泣いてる睦は、
そんな俺には気づきゃしねぇだろうけど…
縋り付くように、俺の背中を掴む。
こんなふうに泣いた事がなかったんだろう。
時折、戸惑っているかのように
頭をもたげようとする。
ただそれを、俺の手が許さねぇから
睦は再び泣き始めるのだ。
泣けなかったんなら、いいよ。
今、全部吐き出せば。今まで溜め込んだ分。
うわぁんという大きな泣き声は
ヒックとしゃくり上げるものに変わり
少しだけ落ち着いたように感じた。
そのタイミングで、
呼びかけるようにポンポンと背中を叩いてみる。
泣き止んだワケじゃねぇ。
でも、そろそろどうだ…?
お前が今まで背負ってきたモンは
たったこれだけの涙には
溶かし切れたモンじゃねぇだろうけど…。
「…んせ、…」
小さく呼ばれたような気がしてハッとした。
幸い、睦の顔は俺の耳元にある。
耳が良くてよかったと
この時ほど思った事はなかった。
「なんだ?」
「…ッさ、きの…」
合わせられた腹が小刻みに震えている。
泣きすぎたせいか、
全身が痙攣を起こしていて
自分にも止められないようだった。
自らを落ち着かせるために
大きく吸い込んだ息まで
心細げに震えていた。
ぎゅっと、両腕で抱きしめてやると
くたりと全身をもたれかけさせて来て
「ひっ、く…うぅう…」
遠慮がちな泣き声を引き摺る。
「…睦、」
名を呼ぶと、細かく首を横に振った。
それは、なにも言うなという事か?
俺に、発言権はねぇかな…
誤解は解きたいが、ヘタに喋るより
睦の出方を待つべきだろうか。
そんなふうに考えていると
話をするための準備なのか、
睦は震える呼吸を整え始めた。
「さっきの、ひとは、むかしの、ペットなの」
「ペットとか言うな。お前なぁ、あい……っ」
あいつの、と言いかけてやめた。
——こいつって何!親しげにしやがってバカ!
そう言われたのを思い出したからだ。