第41章 輪廻 〜if〜 後
「いいよ。すっぱくても。
甘くして食べるから」
「練乳ならうちにはねぇぞ?」
「練乳じゃない。牛乳と砂糖があればいいの。
いちごつぶしてそれと混ぜるから」
「いちごミルクー…」
「何そのイヤそうな顔。おいしいの!」
「はいはい。じゃ行ってくるから、
おりこうさんにしてろよ?」
「…行っちゃダメなの?」
「外寒ィぞ。しかもほら、
一緒にいるとこ見られたらまずいだろ」
「…そっか。わかった」
それはそうだ。
学校サボった上に
一緒にいる所を見られでもしたら
不死川先生にまで迷惑かけてしまいそう。
そんなの自分が許せないもん。
先生はよしよしと頭を撫でてくれて
「行ってきます」
と短く告げた。
先生が行ってしまうんだと思ったら、
…やけに淋しく感じるのは何故だろう。
「…おーい、ンな淋しそうな顔すんなよ。
行くに行けねぇよ…」
困ったように眉を下げて笑う先生に
縋りつきたくなるのをグッと堪えて、
「超特急で帰ってきてね。
でないと泣くからね」
「そりゃ大変だわ」
くくっと喉を鳴らし
きゅっと勢いつけて私を抱きしめると
「耐えられなかったら電話しな」
揶揄うように言って部屋を出て行った。
先生が出て行った部屋。
シンとして、時折、風が窓を叩く音が
ゴオっと鳴るだけだ。
ホットプレートは設置済み。
チーズを入れるはずの
アルミ箔で作った器も、
野菜もエビもフランクも
さっき切ったばかりのパンも
すべてホットプレートの上に乗せてある。
故に、
する事がない…
この時間はテレビも見慣れていない。
つけても楽しくない。
DVDを見る気もしない。
本も雑誌も、…
あれ、私大丈夫?
趣味とか楽しみとか、…
なんにも無いんだよね。
こんな空き時間に、
コレやりたい!って事がない。
ひとつもだ。
一個もない!
趣味……
強いて言えば、先生を眺めている事か。
…えッ⁉︎
ヤバいヤツじゃん…
だめでしょそんなのじゃ。
——櫻井さんの趣味は何ですか?
——宇髄先生を眺める事です!
……変態か。
そんなアホな事を1人考えていると、
玄関の方でカタンと音がした。