第41章 輪廻 〜if〜 後
腕を外させようとぐっと手をかけたけれど
私はそれに逆らった。
「睦!今はだめだ離れろって」
イラついているのがわかる。
でもそれも、また私のためなんでしょ?
「お前ンな事して
どうなっても知らねぇぞ!」
「…どうなるの」
私はもうしらんぷりだ。
離れたくない。
離れろって言われても。
…例え何をされてもだ。
「…頼むから離してくれ。
俺お前の事は大切にしてぇんだよ」
弱りきった先生の声。
そんな声初めて聴く…
私が抱きついているのに
抱きしめ返してくれないのも初めてだ。
…
はっきり言って淋しいです。
…もー!
「いいって言ってるのに!」
私が声を荒げると先生にも火が点いた。
「お前まだ高校生だろ!
俺の立場考えろ!」
「帰って来たら先生オワリって
いつも言ってるくせに!」
「それは俺の気持ちの問題だ!
いいから離せってぇの!」
ぐぐぐっと引き剥がれそうになって
そうならないように
先生の服をぎゅうっと握った。
「絶対やだ!」
「お前なぁ…!」
「知らない男が私のこと襲いにくるからね!」
「アホか!そんな事させるワケねぇわ!」
「来るよ!絶対に!怖い夢見て泣くからな!」
「なに…?」
「怖い!」
「睦…」
「怖いよ…離れたくない、」
私の腕を強く掴んでいた先生の手から
いっぺんに力が抜けた。
「どうなってもいい…だから、
離れないで…離れろなんて言わないで…」
ここに帰って来てほっとした。
ほっとして、
さっきの恐怖が鮮明になった気がした。
張っていた気が一気に緩んだような…
もうここが大丈夫だって事がわかってるから。
「さっきまで、
俺から逃げようとしてたくせに…」
「それは…」
「俺のことも、怖かったんじゃねぇの?」
「怖くないよ。恥ずかしかったけど。
だけど先生にくっついてたら不安がなくなった。
だから…こうしてたい」
「…怖くねぇ?」
独り言のような呟きが耳に届き
少しだけ顔を上げると
先生の口元が目に入る。
「…怖がってろよ」
ゆっくりとそう言った。
私の目にはスローモーションみたいに映る。