第41章 輪廻 〜if〜 後
「へぇ…聴かせねぇつもりか…?」
静かな囁きが鼓膜を震わせた瞬間、
私の頭を抱え込み
先生とは反対側にきゅっと傾けさせる。
…
首筋を差し出すような形になった途端、
鼻先で器用に襟元をよけ、
大きく開いた唇が首の付け根に充てられて
軽く吸い上げた。
「ひぁ…っ」
急な甘い刺激に思わず声を上げてしまう。
「せんせ…もう、」
だめだ、こんなのもう、耐えられないよ…
「…はずかし、…」
涙を堪えて訴えると
サッと先生の目の色が変わったのがわかった。
あ、煽ってる、ってこういう事だ…
そう理解した私は口をつぐんだ。
今の状態の私が何を言っても、
先生を『煽る』ことになりそうで。
…そうしたいわけじゃないもの。
先生は私の目に、恐れを見出したのか、
片手で目元を覆い
同時にこめかみを押さえた。
「…悪ィ。あまりにも…」
…あまりにも?
何だろうと思ったけれど、
それを訊くのも憚られる。
だってどうせ可愛いとか
その類の言葉が出てくるに違いないから。
そんなの聞かされた所で
どうしたらいいかなんてわからない。
それなのに、
私の気持ちは
どこかへ飛んで行ってしまったみたいに
カラッポだった。
さっき、先生に触れられている時が
心地よかった…
そばに感じられた。不安がなくなった…
「先生…」
「あぁ、」
未だ、目元を覆ったままの先生。
軽く頭を振って、
邪な気持ちを払拭しているように見えた。
「先生、」
「あぁ何だ」
…こっちを見て欲しいんだよ。
「…せんせ、い…」
涙声が、先生の手を外させる。
「…どした?」
真剣な目で、私を凝視めて
真剣な声が私を心配してくれた。
私はこの人が好きだ。
「…ごめんなさい、」
何がごめんだったのか、自分にもわからない。
だけど私はそのまま
先生の背中に腕を回して
ぎゅうっと抱きついた。
「っ!…睦、」
先生は戸惑ったような声で
私の名を読んだ。
だけど私は聴こえないフリで
先生の胸元にうずもれていた。
「睦……離れろ」
先生は優しくてあったかい。
ずっとこうしていたいのに。
「おい聞け」