第41章 輪廻 〜if〜 後
「薄味ったって、白湯じゃあまりにもな…」
そう言いながら取り上げたティーポットを
ゆっくりと揺すってから
揃いのカップに、
明るい水色(すいしょく)が注がれていく。
湯気にふわっと覆われて
優しい香りが私まで届いた。
すんっと鼻を鳴らすと
先生はくすっと小さく笑い
上の戸棚に入っていたポーションを2つと
今時珍しい角砂糖の瓶を取り出す。
ポーションをパキっと開けて
高い位置から白い糸のように
中身を垂らすと、
まっすぐに落ちていくそれが
カップの底に跳ね返り
紅茶の中を、湧き上がる雲のように
もくもくと広がって行った。
2つ目を入れる頃には
2色は綺麗に調和していて
私の良く知るミルクティー色になっていた。
「どれにする?」
ついカップの方に見入っていた私は
不意に話しかけられて先生を見上げる。
ん?と首を傾げると
「……お前さ、」
先生はしかめっ面で私に詰め寄った。
「なになに…⁉︎」
空気を押されるような勢いに1歩下がる。
「それ、わざとしてるよなぁ?」
「わざと?それ、ってどれ?」
「そういう可愛いヤツー」
「はぁ……」
可愛いヤツ…
「もしかして私の事を可愛いとか
思ってくれてる…とか…?」
「あーあ…」
あーあ?
…あーあって何?
あれ、もしかして私、
めっちゃ恥ずかしいこと言ったのかも。
今更恥ずかしくなって来て、
そんなワケないよね!って、
誤魔化そうとした時
「可愛いって思っちゃうワケよ…」
「へ…っ⁉︎」
本当に⁉︎
ものすごく動揺したというのに、
「ホラ、砂糖どれにすんの?」
先生はシレッと話題を変えた。
「待って、…さ、砂糖…?」
「そ。どの柄がいい」
先生が差し出した角砂糖入りの瓶。
そこにいっぱいに入った
角砂糖のひとつひとつには
赤のバラや黄色いネコ、青いクジラなど
いろんなものが
アイシングでデコレーションされていた。
それを見せられて
「うわぁ!可愛い!」
なんて、気持ちを持っていかれるけれど…
いやいや、そうではなかったはずだ。
「誤魔化さないでよ」
私はバカだからすぐに
はぐらかされてしまうんだから。