第41章 輪廻 〜if〜 後
「ミルクティーの方が好きだろ?」
「好き。何で知ってる?」
「何でって…。何でだろうなぁ?」
その気を持たせるような言い方が
やけに私の耳にまとわりついた。
「俺、割と何でも見てるぜ?」
『何でも』って、どういう意味だろう。
…『みんなの事』って意味?
それとも、私の『何でも』かな。
…やばい。
変に期待してる…?
「そうですか…」
「薄めの甘めかな…」
先生はティーポットにお湯を注ぎながら
突然そんな事を言い出した。
それが紅茶の味だという事に気がついて
「こわっ‼︎」
私はつい大声を上げた。
何故かって、私の好みどんぴしゃだったから。
誰にも言ったことないのに。
「どこ情報⁉︎」
まじで怖い。
「俺の独自のリサーチだから俺情報。
大当たりだろ」
「何勝手に調べてんの?」
「調べるまでもねぇよ。
毎日毎日、顔突き合わせてメシ食ってりゃ
そいつの好みなんて嫌でもわかるっての」
「うそだー…
私先生の食べ物の好みなんて
まっったく知らない」
「お前は俺の事なんか見てねぇもん。
メシばっか見てるから」
「…それじゃなんか、食いしん坊みたい」
「いや、
前向いてしっかり食うのはおりこうさん」
…子ども扱いかよ。
「その点俺はオトナだから、
周りに目を配る余裕があるワケよ。
お前は、自分の食う分だけ
極端に味付けが薄く作るよな?」
「見てたの?」
作る時
最初に薄く味をつけ、
先に自分の分をよそってから
残った先生の分をしっかり味付けする。
別に隠していたわけではないけれど
まさか知られていたとは…。
「んー…見てたっつぅか、見えた」
「へぇ…」
そんな事あるかな。
「そのくせ甘いモンは平気で食うよな。
しかも砂糖レベルの甘いモン」
「甘いものは可愛いでしょ」
「可愛い?オイシイだろ?」
「可愛いの」
「ふぅん」
お茶の淹れ方なんかよく知らない。
でも先生は詳しいのか、
時計を見たり、
ポットの蓋を取って中を確認したり…。
「…淹れ方知ってるの?」
真っ白なポットを見下ろしていると
先生はそれを持ち上げて
「そんな本格的じゃねぇけどなー」
にーっと笑ってみせた。