第41章 輪廻 〜if〜 後
昨日から、
先生の距離がものすごく近い…
とにかく近い。
「……近くない?」
そう訊いてみても
「そうか?」
ととぼけるばかり。
でもソファに座っていた私の隣に
隙間なくぴったりはりついているのだから
近くないわけがないのだ。
「狭い!」
私はそこから立ち上がり
そのままキッチンへ。
学校帰りに買ったりんごジュースを
冷蔵庫から取り出した。
「そんな冷たいモンやめとけ」
パタンと閉めた冷蔵庫のドアの向こうから
いつのまに来ていたのか、宇髄先生が現れて
私の手からりんごジュースを取り上げた。
「あ…!」
「すぐ冷えるくせに。
あったかーいミルクティーでも淹れてやるから
そこで待ってろ」
顎でダイニングテーブルを示される。
「りんごジュースがいいの」
「りんごジュース煮詰めてやろうか」
…
「やだ」
「じゃミルクティーな」
「この家に紅茶なんてあるの?」
「紅茶くらいある」
「先生飲まないでしょ」
「俺だって紅茶飲みたくなることくらい……」
「……ないでしょ。コーヒーばっかりじゃん」
「あぁ、ねぇな…」
先生は紅茶の葉が入っている缶を
じぃっと眺めた。そして
「お前に飲まれんの、
ここで待ってたんじゃね?」
そんなありがちで
しかも割と恥ずかし目な事を言う。
「…いつ買ったか覚えてないだけでしょ。
消費期限大丈夫なんでしょうね」
「冷たいのね睦ちゃん。
まぁこういうのは腐りかけが1番美味いんだよ」
「ちょっと!」
「大丈夫だよ、俺がお前に
おかしなモン飲ませるワケねぇだろ?」
…それは、知りませんけど。
先生はご機嫌で
ティーポットに茶葉をさらさらと入れて
「睦が元気だと、やっぱいいな」
こちらを見ないまま、にこりと笑った。
…そういうのさ、
勘違いしそうになるからやめてもらいたいな。
わかっててやってるのかな。
…わかっていなくてやってるならツラいけど。
「…なんでレモンティーじゃないの?」
私はわざと話題を逸らす。
余計なことをぐちぐち考えてしまうから。