第41章 輪廻 〜if〜 後
「…食べたいの?」
意外だった。
そんなふうに思ってくれていたとは。
「あぁ、俺お前の作ったメシ大好きだから
食わせてもらえるなら嬉しいし」
「…っ」
大好き…
いや、ご飯がだよ。
なに勘違いしてるのさ。
だけど、今まで誰からも
そんなこと言われた試しがなかった。
私自身の事はもちろんのこと、
作ったものや持っている物も、
褒められたことなんかなかったのだ。
それなのにこの人は
臆する事なく真っ正面から私を褒める。
…慣れない事をされたら
嬉しくなるに決まっている。
私は自分が浮かれている事に気づいていながら
もうそれを抑える自信がなかった。
流されているのがわかっているのに、
もっと褒めて欲しいと思う気持ちを
止められなかった。
まるで小さな子どものようだ。
褒めてもらいたいから無茶をするなんて。
笑われるのを覚悟の上だった。
でも知ってるんだ。
宇髄先生は、そんな事する人じゃない。
「こんなんでよければ、ずっと作るよ」
「そりゃ俺の将来は安泰だな」
さすがに…将来、の話はしていないんだけど。
どういうつもりで言ってるのかな。
…いや、どうも何もないよね。
ほんの雑談だよ。
私の考えすぎだ。
「もう食べる?」
「そうだな、早めに食って早く休もう」
頭に乗せられたままだった大きな手が
ぐっと私を引き寄せて
一瞬、自分の肩に押し付けてから
するりと離された。
この距離の近さも、さすがに慣れた。
私とは全く違う、この距離感。
女の扱いにも慣れていそうだし
きっとどうってことないんだろうな。
頭の隅でそんな事を考えて
私はチクリと胸の痛みを感じた。
「……」
なんの痛み?
そっと胸に手を当てる。
だけどそんなの、わかるはずもなく…
動かなくなった私に
「どした?やっぱどっかおかしいか?」
優しい問いを投げかけた。
「違うよ。ごはんすぐ作るね」
私は笑顔で誤魔化して
キッチンへと入ったのだった。
夕飯を食べ終え、
お風呂も済ませた。
時間は9時過ぎ。
いつもならテレビなんか見ながら
ソファでゆっくりする時間。