第41章 輪廻 〜if〜 後
朝なのか夜なのかもわからない。
むくりと身体を起こし辺りを窺った。
シンと静まり返った部屋はすごく淋しくて
同時に怖くなってくる。
この暗い景色は
一気に私の心を闇へと沈めて行く…
これから、明るくなっていくのかな。
それとも真っ暗に…?
静寂を打ち破ったのは突然聞こえた、
遠慮がちにドアを閉めるような音だった。
ドアの向こうから響いて来たそれ。
私は即座にベッドを下りて
ベッドルームのドアに手をかけた。
ガチャっと開けると
キッチンのライトだけをつけた薄暗い空間に
大きな影を見つけて、
あぁよかった
と、心から思った。
何がよかったのか、
自分でもまったくわからないけれど。
でも当たり前のようにそこに居てくれる事が
とてもありがたかった。
なのにまだ夢の中にいるみたいで
その場から動くこともできずにいた…
そのうち先生の方が気づいてくれて
「起きたなら声かけろよ」
困ったような笑みを作る。
緊張をふわりと溶かす声が聞こえた瞬間、
さっきまで動かせる気のしなかった私の足が
ウソみたいに軽く1歩を踏み出した。
不意に動き出した私を目で追い、
距離を詰める毎に
「少しは良く、なっ、たのか……」
言葉は途切れがちになっていき
話の途中で先生の腰に抱きついた私に
とうとう言葉を失った。
「…どうした、のかな?」
私の行動はかなりの動揺を誘ったようで
先生は、
やり場がないのか両手を浮かせたまま
どこか口調もいつもと違っていて…
だけど変な意味じゃなくて、
こうしてくっつきたかったんだ。
感謝の意、というか…
ありがとうの表現というか。
先生にとっては
ただちょっと可哀想な生徒を
助けただけなのかもしれないけど、
おかげで私はこんなに救われたんだ。
「……ちょっと、嬉しかったのと…
ありがとって思ったのと…いろいろ」
身を硬くしていた先生が、
私の言った事を聞いて
空気が抜けた風船みたいに
全身をしぼませて
「…歩けるくらいには回復したって事だな。
ゆっくり休むって大事なー」
行き場を失っていた手が
私の頭にぽんと乗せられた。