第41章 輪廻 〜if〜 後
「あの子に何話すの?」
「訊かれた事に答えるだけだ。
まぁ…支障のない程度に。
俺だって自分は可愛いからな。
不利になるような事は言うつもりねぇし
お前に嫌な思いをさせるつもりもねぇ」
先生は真剣だった。
本当にそうするつもりなんだろう。
「何訊かれるかな…」
「そりゃあ…色々だよなぁ。
あの状況でお前を掻っ攫って行った俺は
あいつの中で悪人だろうし…。
櫻井もあん時、
ちょっとおかしかったしな」
「そうだよね…。
自分でもあんなふうになるなんて思わなかった」
「あれは…どういう状況だった?」
「いきなり腕を掴まれて…
痣が残った時のこと思い出したら
急に怖くなって…」
「…そっか」
中途半端なまま、
先生は強引に話を終わらせた。
もう言わなくて充分だと言われた気がする。
ソファに横になったままの私のほっぺの上に
自分の顔を乗せ、
合わせた掌みたいに、
今度はほっぺた同士が重なった…
慰めるようにすりすりと擦られて
…どんな状況なんだろうと頭を悩ませる。
だけど、全然嫌じゃないんだ。
むしろもっとしてほしいくらい。
…自分がおかしくなっていくようだ。
「…私がいない方がいい?」
「いや、居ても構わねぇよ。
でも…聞きたかねぇだろう?
俺を疑ってて、全部見ていたいってんなら
居てもらっても全然構わねぇけど」
「先生が送ってくれるのは嬉しいんだけど…」
「ん。…けど?」
「笑わないでね…?」
「あぁ」
「…離れたくないの。淋しい」
素直に胸の内を曝してみると、
私のほっぺの上の先生の頭が
力を抜き切ってガクッと落ちてくる…
「おも…っ」
「可愛いこと言いやがったー…」
悩ましげな声。
困ったような嬉しいような
いろんな感情が混ざっている。
…素直になって、よかったかな…?
「言えんじゃん、本音」
「…決死の覚悟だよ」
「そうなのー?アリだぞ睦ー。
よし。…じゃ俺も早退しよ」
「えぇ…⁉︎ウソでしょ?」
「ウソなワケあるか。超本気だわ」
「…授業…!」
「今日は午後ねぇのよねー」