第41章 輪廻 〜if〜 後
「おーい櫻井ー。
目ぇ覚めたかー」
そう言いながらブランケットをめくって
私の手をぎゅっと握ってくれた。
凝視めていた先生の目から
その手に視線を移す。
上から被さる大きな手。
お互いの掌が合わさる格好だ。
先生の手あったかい。
「まだ冷えてるな…」
先生の声がやけにはっきりと聞こえた。
さっきまでの響くような感覚はもうない。
意識までしっかり覚醒したようだ。
先生の話し方はまるで、
私の手を触って冷たさを確認しただけのよう。
すぐに離されてしまうんじゃないかと思った私は
思い切り力を入れて先生の手を握った。
すると数回にぎにぎされる…
どうしたの?と言われているみたい。
だって先生の顔はにこにこだったんだもん。
「手…」
嬉しいの。
「んー?」
「……」
「調子悪くなったんだな?」
「うん…」
「俺んとこ来たの、えらかったな」
「…ごめんなさい」
「なんでよ?」
「なんか…
余計な事させたかなって思うんだけど…」
「あぁ。大丈夫だよ。櫻井は
俺のとこに来るって思いついただけで合格だ」
「…先生やっぱり甘いの」
「お前が甘え方知らねぇって言うからなぁ…
こっちから甘えさせてやるしかねぇだろ」
「そんなに、…必要?」
「必要だねぇ」
「なんでだろ…」
よくわからない。
いつもの事だけど。
「俺がそうしてやりてぇからだよ」
「…ふぅん」
すごく嬉しいくせに
そんな気はないような返事をわざとした。
だって知られるのが、恥ずかしかったから…。
私の気のせいかな。
先生、どんどん優しくなるよ。
気のせいじゃないといいなぁ…
自惚れるのは怖いけど、
ちょっとそんな気にさせる先生もどうかと思う。
「今日は早退するか?」
私と同じくらいの強さで手を握ってくれた。
このままいたいなぁ…
ここが先生のおうちだったら良かったのに。
「やだ」
「…今のうちなら、車で送ってやれる」
先生の声色が変わった。
そこである事に気がついたんだ。
…さっきの男子生徒が話をしに
ここにやってくるのだ。
私がいない方が都合がいいのだろう。
体のいい厄介払いだ。