第41章 輪廻 〜if〜 後
ぱちぱちと何度か瞬きをするうちに
うろついていた目線が
そのうち俺へと辿り着く。
目があったまま、
何も言わずにぼーっとしている睦。
夢の続きだとでも思ってるかな…
「ちっとはあったまったか…?」
ソファに肘をかけ頬杖を突くと
空いた方の手で
乱れた髪を直してやる。
…熱は無さそうだ。
「……」
俺を見たまま
まだボケっとしている睦が可愛い。
可愛い…。
「調子は…?」
俺が訊くと、
肩まで掛かっていたブランケットから
小さな指先がチラリと覗いた。
…手を出そうとしてやめた。
そんな感じだ。
そういうの、わかっちまうんだって。
俺をなめてかかると痛ぇ目みるぞ。
パチリと目を開けると、
夢か現か、
宇髄先生が目の前にしゃがみ込んでいて
優しい瞳で私の事をじっと見ていた。
…まだ夢かな。
ここどこだっけ。
困った事に目が離せない。
そのうち優しく微笑んで、
…何か言われたような気がする。
ボサボサになったはずの髪を
手櫛で直してくれて
そのあまりの心地よさに
私はまた眠りに落ちてしまいそうになった。
先生の優しい声が…
私のだいすきな声が
耳の奥でぐわんぐわんと響いている…
外耳道にぶつかって跳ね返っては
鼓膜に当たってまた跳ね返っているみたい。
あんまり回復していないのかな…
少し不安を感じて
無意識のうちに手を伸ばそうとしていた。
ブランケットから指先を出した時
外の冷たい空気を感じて、
あ、と気づいてその手を止める。
手を繋いでほしいと
思ってしまった。
そんな事をしたらいけないんじゃないかと
自分の中でブレーキをかけてしまうんだ。
ほらね。
どうしたらいいかわからない。
したいことをしていいのか。
もし、それを拒否されたら…
今まで、私のしたい事なんて
ことごとく却下されてきた。
され続けて来た。
そんなのさ、
もう怖いでしょう?
だってまた拒絶されたらどうしようって。
そう考えてしまうのだって
しょうがないでしょ。
私だって人並みに傷つくんだよ。