第41章 輪廻 〜if〜 後
もしかして恵まれない子への支援とかで
生き甲斐を感じるタイプなのかな…
全然そんなふうに見えないけど。
「言い過ぎなモンかよ。
オトナの勝手でひでぇ目に遭わされて…
お前の心はどうしたらいいんだよ?
俺はお前の生活の確保をした程度で…
じゃあどうしたら睦を
ほんとの意味で救ってやれんだ」
え、先生泣かないよね…?
まさかね。
「充分救われてるんですけど…
住むところ与えてもらっただけで
随分ストレスの軽減になってるよ。
先生いなかったら私マジで終わってたし」
「そんなこと言うなよ…
ちゃんと…もっとしてやりてぇのに…
ごめんな、足りねぇよな」
「な…なに…?どうしたの先生、
やめてよね急に…酔ってんの?」
いつも元気で溌剌とした先生の声が
情けなく震えているのを聞いただけで
私まで泣きそうになってしまう。
小さな子どもみたいに、不安を煽られる。
「お前が来てから酒は絶ってる」
なにその完璧具合…
かっこよすぎでしょ。
私をどうしたいのよ。
「充分足りてるから…
不満なんかちっともないし
先生ずっと私のために動いてくれてるよね。
ごめん、ちょっとウザいって思った事もあるけど
基本感謝しかないから…
だからそんなこと言わないで…」
大きな身体をぎゅっと抱きしめた。
そんな事でどうにかなるとは思わないけれど…
それでもしないよりかはマシな気がして。
「睦…」
「なに?」
「もう大丈夫だからな」
「え……」
もう大丈夫…
その言葉は、
乾いた土に降り注ぐ恵みの雨のように
私の心に染み込んでいく。
音もなく静かに降る雨は
そのうち心をいっぱいにしてくれた。
私の土を潤した雨は
巡り巡って私の目からこぼれ落ちる。
もう大丈夫なんだ、私…
ねぇ先生、
そのひと言が
どれだけの私に力をくれるかわかる?
誰も言ってくれなかったよ。
そもそも、誰かを頼った事なんかなかったけれど
それでもさ…
近しいはずのあの人だって言ってくれなかった。
言って欲しくて、
そう思いたくて…
でも確信がなくて、
全然大丈夫になれなかったよ。