第41章 輪廻 〜if〜 後
困った顔でアワアワしている睦。
「先生は自分の分食べたらいいよ。
私のは、…食べちゃダメ」
「はいはい、いいからほら」
俺だって本気でそんな事しようとはしていない。
こいつの罪悪感を払拭しようと思っただけだ。
「もう離してくれるか、」
俺がぱっと両腕を離した後も
睦は俺の胸元に掴まったまま。
このままいてもいいが、
睦は風呂をご所望だ。
しかしこいつは、…
「え……?」
また。
その目。
淋しそうな。
…離れたくなくなった?
俺のそばは居心地いいか…?
「風呂、溜めような」
ただ、煩わしくなって
離れろと言ったワケじゃない。
それをわからせるよう
わざとそう言うと
いくらかホッとしたようにコクリと頷いた。
「ありがと…」
湯船は昨夜、風呂から上がる時に洗ってある。
故に栓をしてから
湯を溜めるためのボタンを押すだけだ。
「すぐだからな…」
俺は最後に抱きしめるフリをしながら
頭のてっぺんに、そっとキスをした。
「…お先に、」
キッチンで洗い物をしていると
背中に遠慮がちな声がかけられた。
振り返ると、
見るからに風呂上がりの睦がいた。
さっきよりも随分と血色がいいようだ。
ちゃんと温まる事ができた様子。
でもやっぱり調子が悪いのは悪いらしく
少し背中を丸め気味だった。
「早いけどもう休め」
洗い物を途中にして手を拭き
睦の元へと歩み寄る。
「もう⁉︎まだ8時だよ」
睦は不満そうに顔をしかめた。
「体調悪ィのにもうも何もあるか」
額に手を当て熱さをみると
「別に風邪とかじゃないから…」
その手を振り払われて
更に不満そうにした。
「そうかよ。ほら、今日はベッドで休め」
「ソファでいいって。
すごく寝心地良かったよ」
「そりゃよかった。でも今日はダメだ」
睦の手を引き
ベッドルームへと向かう。
おとなしくついてくるかと思いきや
「…ただの生理痛だから、」
ピッと足を止めて、その場にとどまろうとした。
往生際が悪いな。
「そうか。…だから?」