第41章 輪廻 〜if〜 後
なぁ睦、
俺に女がいるかどうかが気になる…?
そう思うとどこか喜んでしまう自分がいて…
…あれ、俺結構ヤベェんじゃねぇか…?
と、本気で思う。
慈愛はどこへ行った。
「どっかにそんな気配があったか?」
俺は気持ちを入れ替えて
至って冷静に言葉を運び、
部屋の中をぐるりと見渡した。
女っ気があるどころか、
必要最低限の物しか置いていない
割と殺風景な部屋だと思うんだけど…。
それでも睦は俯きがちで
「あー…あの冷蔵庫がね、
すごく整頓されてて…
見えないような所まで細かく仕分けできるのって
もしかして『そう』なんじゃないかなー…と、
思ったんだけど…」
のたのたともたついたように続けた。
「そりゃどーも」
「先生がやったの、あれ?」
「俺がやりました。冷蔵庫に限らず
ごちゃごちゃしてんのイラッとすんだよ。
ストレス軽減、加えて物探すムダな時間短縮な」
「へぇ…」
心なしか頬を染めている睦は
意外そうに少しだけ目を見開いた。
「そんなに意外だったか?」
「うん…そんなきっちりしたようには
見えなかったから」
「お前それはちっと…失礼じゃね?」
そうか、
俺はこいつからそう見えているんだな。
ひとつ課題が出来たところへ
さっきから疑問に思っていることが…
「なぁ、…なんでそんな照れてる感じなの?」
指をいじいじ弄び、
頬はほんのり紅色、
言葉は拙くて、目線は全く合わないまんま。
誰が見ても照れているだろうに
その原因がちっとも見当たらないのだ。
…可愛いから、このまま見ててもいいけどね。
でも、冷蔵庫ん中が片付いてるのが
なんで照れに繋がるのか、
小さな事だが気になるだろう…?
「そんっ!なことないしね」
「…いやー、悪ィけど」
文字通り頭を抱えてしまった睦に
追い討ちをかけてやろうと決めた。
…意地悪じゃねぇよ?
「俺そういうの鋭いし、
お前すっげぇわかりやすいから
隠したとこで勝ち目はねぇぞ」
クールだと思っていた睦が、
実は年相応の可愛い高校生だとわかった時、
俺はなぜだかとても嬉しかった。