第4章 鍛錬と最終選別
それだけ言うと、杏寿郎は立ち上がり更紗の頭を軽く撫でてやる。
「俺は君がこなせないような課題は出さん。これはギリギリ更紗が突破できるであろう課題だ。明日の朝餉後から開始する。父上も千寿郎もこの事は知っているので、思う存分挑んでくるといい。明日からに備えて、今日はもう休みなさい」
そう言って名残惜しそうに手を頭から離し、杏寿郎は部屋から出て行った。
更紗は座ったまま膝の上で握られている自分の手を見つめている。
「私が……柱である杏寿郎さんを捕まえるなんて……出来るのでしょうか?」
誰もいない部屋に不安げな自分の声だけが響く。
「でも……どうにか突破しないと最終選別すら受けさせて貰えません。何かいい手はないか考えなくては」
絶望しても悩んでも時間は等しく流れていく。
自分のためだけに時間は止まってくれないのだ。
「どんな手を使っても構わないと言われましたが……まずは正攻法で挑んでみましょう!」
弱っていく気持ちをどうにか奮い立たせ、更紗は立ち上がり居間を後にした。