第4章 鍛錬と最終選別
全集中の呼吸 常中も、毎日少しずつ感覚を伸ばし、数ヶ月かけて一日中出来るほどにまで成長した。
そんな最終選別まであと5日となった日の夜、杏寿郎は食事後更紗に居間に留まるように言い、今は向かい合って座っている。
「更紗、君はよくここまで着いてきてくれた。明日、師範として最後の課題を出す。それを突破しなければ、君を最終選別へは送り出さない」
更紗はその言葉に目を見開き驚いている。
「え、送り出さないとは……」
どういう事でしょうか
などと分かりきっている問いは出来なかった。
杏寿郎は冗談で人を戸惑わせる事は言わない。
それは数ヶ月、共に生活をし、鍛錬を行ってもらっていた更紗が1番理解している。
「言葉のままだ。俺は君が課題を突破しなければ最終選別を受けさせない。死なせる訳にはいかんからな」
そこに笑顔はなく、本気だと伝わる。
数ヶ月の間にお館様の許可を得て、何度か鬼狩りの現場に連れて行って貰っていたが、その鬼を狩る時の表情と今の杏寿郎のそれは酷似している。
「あの、その課題とはどう言ったものなのでしょうか?」
残酷にも今までのどんな課題よりも難しい課題を突きつけてきた。
「どんな手を使っても構わない。3日間の間で俺を捕まえるんだ」