第20章 柱稽古とお館様
枯れ枝を探し火を灯すと、それまで陽の温かさを溜め込んだ岩に張り付いたり地面へ突っ伏して体を温めていた剣士たちが次々と火の周りに集まってきた。
かくいう更紗も自然治癒力が他の人よりずば抜けて高いが、さすがにそれでも手先や足先の体温が戻るまでに時間を要するほど体が冷えたので、目の前で赤々と燃える焚き火の前に鎮座している。
「滝行をこなせば次は丸太を担いで滝行……丸太なんて担いだこともないので想像も出来ません」
独り言をブツブツと呟いていると、隣りにいる剣士が寒さから体をガタガタ震わせ話しかけてきた。
「君ってもしかして月神?伊黒さんのところで稽古をしてた奴から聞いてた特徴と似てる」
小芭内のところで稽古をした剣士から聞いたということは更紗の能力を知っているということだ。
内心緊張しながら更紗は剣士へと笑顔を向けて頷いた。
「はい、月神更紗と申します。怪我をされたら仰ってください。小さな傷ならすぐに治せますので」
剣士は目を丸くして驚いている様子だが、すぐに朗らかな笑みを更紗へと返してくれた。
「ありがとう。にしても凄いよな!嫌じゃなかったら怪我を治す力、後で見せて欲しいんだ。すっごい綺麗だって聞いてたから」