第20章 柱稽古とお館様
治癒能力の存在を知った時の反応は人それぞれだ。
鬼殺隊では今のところ気味悪がる人はいないが、実弥の屋敷で出会った剣士のように様々な理由から憤る人もいる。
その中でこうして笑顔を向けくれる存在は更紗にとっても有難い。
「もちろんです。怪我しか治せないので一先ず今は暖を取りましょう!凍えてしまっては体も動かせませんからね」
和やかな雰囲気を剣士が作ってくれたおかげで、この場の全員が震える体を暖めながら穏やかに時間は過ぎていったが……再びお経を唱えながら行う滝行へと舞い戻っていった。
結局今日は先に稽古をしていた剣士たちを含め、更紗も丸太を担ぐには至らなかった。
遥か上から落ちてくる水の勢いに体勢を保つことが精一杯で丸太どころではなかったからだ。
なので怪我人は発生せず力の向上も試みることが出来ないまま一日を終えることになるが、休む前に本部からもたらされた赫刀について詳しく聞きたいと行冥からお呼び出しがかかった。
そうして夜になり冷え込む中、更紗は日輪刀を持って薄暗い道場で行冥の到着を待っている。
「説明は可能ですが……私の力で悲鳴嶼様のお相手が務まるとは思えません……悲鳴嶼様からすれば赤子も同然でしょうし」