第20章 柱稽古とお館様
差し出された小指は細くしなやかであるが、皮が厚くなり剣士のそれになっていた。
元の女性らしい指を捨て刀を握り厚くすることを厭わなかった更紗や、それら全てを受け入れ見守り、そして育てきった杏寿郎に尊敬という感情が湧き出し、自然と顔がほころんでいく。
「ほら、今度は何約束するつもりだ?」
こちらも小指を差し出すと、涙で濡れたままの瞳は嬉しそうに弧を描いて満面の笑みとなり、契りの歌が辺りに響き渡った。
『全てが終わったらお兄さんと呼ぶことを許してください』
契りの歌が終わってから暫く呆然としていたが、思ってもみなかった約束事に実弥の顔が珍しく真っ赤に染まる。
「全てが終われば鬼殺隊は解散になるでしょう?となると、外聞も何もなくなるので私にとってはお兄様になります!約束……忘れて遠くに行かないで下さいね」
指切りをしてやると言ったからには約束を守らなくては、目の前で笑う少女は確実に嘆き悲しみ涙を流すのだろう……
そう確信出来るからこそ、実弥には頷くしか道は残されていなかった。
「分かった……全て済んだら好きに呼べ。楽しみが出来りゃあ、笑顔で次に向かえんだろ」
「はい!では実弥さん、お兄さんと呼べる日を楽しみに次へ向かいます。本当にお世話になりました」
すっかりご機嫌になった更紗の後ろ姿を見送っていると、後ろからコソコソと声が聞こえてきた。