第20章 柱稽古とお館様
話す余裕がなく頷くことで返答すると、杏寿郎から飛ばされた助言を頼りに分散させていた意識を腕から手にかけて集中させる。
それに伴って全身へ均等に巡っていた血液が腕へと集中し、自然と握る力を上昇させるために必要なものが多く運ばれていく。
(せめて杏寿郎君の今の力と同じくらい出さなきゃ赫刀にはならない……)
徐々に打ち込んでくる威力の強まる更紗の攻撃に思わず杏寿郎の顔に笑みが滲み出し、自分の柄を握る力も自ずと増していった。
それから暫くして実弥が戻ってきたのだが、真剣で打ち合うつもりはないと説明していたはずの2人が刀を交えていたので目を剥き驚いた。
しかしそれよりも驚くことが目の前で起こったので、初めの驚きなどどこかへ吹き飛んでいく。
「あいつの日輪刀……赫くなりやがった」
言葉通り、本人は手や腕に全意識を集中させているので未だに気付いていないが、更紗が望んだ物を手に入れている。
それに杏寿郎も勿論気付いているので鍔迫り合いにもっていき、更紗の動きを止めた。
「更紗、終わりだ!染まったぞ!」
「え?わ!本当です!師範、染まりました!」